人気ブログランキング | 話題のタグを見る

W 「vin & vino, wines of the world, with you!」

Hausherr

Hausherr_a0157027_23173436.jpg

Hubert et Heidi HAUSHERR
ユベール・エ・エイディ・オシェール
産地:アルザス地方 エギスハイム

「もうひとつの個性」
「リューディ(区画)ごとのワイン」
Hausherr_a0157027_2326947.jpg

●蔵元 
コルマールの近くの村、エギスハイムで何代にも渡り家族経営されてきたドメーヌ。現当主ユベール・オシェールの祖祖父の代は、ブドウを栽培し、ワイン造りも行っていました。そして当時の多くの農家と同様に、穀物作りや家畜を育てる複合農業を営んでいました。農場を引き継いだ祖父セレストは、第二次世界大戦の後、ワイン販売が困難になったためワイン造りをあきらめ、栽培したブドウを協同組合に出荷するようになりました。

父、ベルナールの代に蔵は大きくなり、1984年にユベールが、その2年後には弟が父を手伝うようになりました。協同組合での経営は順調でしたが、ユベールは、丹念に育てたブドウがその良さを表現することなくワインになってしまうことに欲求不満を感じだしました。「何か違う」 「自分が育てたブドウでワインをつくってみたい」 この願望がいよいよ強くなって、1999年に自然派ワインの蔵元から専門知識を教わり、自分たちが思い描くワイン造りを確信しました。

そして2000年に、ついに妻のエイディと組合を離れて自社で醸造からビン詰めまですることを決断したのです。しかしユベールの弟は協同組合に残ることを選んだため、この蔵は2つに分割されました。

ユベール夫妻は4haの畑を引き継ぎましたが、農機具が全くなくなってしまいました。二人はこのハンデを契機にして、テロワールを尊重したブドウ栽培をするために化学物質を一切使わない農業を選択し、手作業によるブドウ栽培を始めました。それは祖父の時代には当たり前の農業でしたが、近代化された現代では“奇妙な”方法だと思われています。

「生きた土作り」をするには、馬で耕す方が良いと思い、請負業者に頼んでいましたが、定期的な耕作ができない不便さがありました。そこで土を固めないようにと小型の耕運機を購入して4年ほど過ぎたころ、やっと一頭の馬(スキッピー)を入手することができました。それ以来、自分たちで馬と一緒に耕作しています。

2000年に実家のすぐ隣にある建物を購入して、ワイン醸造所と熟成庫として手を加え、初ヴィンテージを仕込みました。テクニックとしての「醸造技術」は複雑で不自然ということで、昔ながらのワイン造りを目指しました。ブドウを手摘みして、ゆっくりと圧搾した後、天然酵母による発酵に移ります。その後は細かな澱と一緒に、ワイン自体のリズムを尊重した熟成を行うというものです。

しかしワインを造っても誰が買ってくれるのか?顧客を全く持っていない状況で、ワイナリーを興すことはとてつもなく大きな不安がありました。それを乗り越えられたのは、いくつか理由があります。

〇祖父セレストのカーヴに入る機会があったこと。使われなくなった圧搾機や発酵槽などを目の前にして感動。
〇ワインを試飲して、それができた背景を思いめぐらせることに強い興味があったこと。
〇一番大きな理由は、父や弟と共に「いつか自分たちのワインを造りたい」と話していたこと。結局この夢は違う形で実現することに。
〇そしてエイディが収穫のアルバイトに来て出会ったこと。彼女は蔵に残って結婚し、2年後に協同組合から独立しました。

Hausherr_a0157027_23182465.jpg

●栽培・醸造
 完成したワインの品質は、原料となるブドウの品質が大きく影響します。優れたワインを造るには品質の高いぶどうを得ることができるか?酸味と糖分、タンニン成分がバランスよく成熟するまで待つことができるのか?という点が大事です。
そのためには収穫量をコントロールしなければなりません。アルザス地方では1ha当たり80hlの収量が認められていますが、収量が多いと残念ながら品質は落ちてしまいます。オシェールでは単位面積の収量を30~50hlまで抑えることによって、香味が豊かでエキス分がしっかりとしたブドウが育ちます。

Hausherr_a0157027_23191078.jpg

醸造:
少量のSO2を使う以外は、醸造テクニックを使わない。
19世紀に使われていた手動の垂直型木製圧搾機を修復し、ゆっくりと丁寧な圧搾をして、コロイド状の物質が混ざらない澄んだ果汁を得る。
以前は、品種ごとのワインを造っていましたが、現在は区画ごとに2,3品種を混ぜたワインがほとんどとなっています。

Hausherr_a0157027_23284373.jpg

Hausherr_a0157027_23194522.jpg


Vins
Hausherr_a0157027_2334312.jpg

Cuvée Sans Pretention (キュヴェ・サン・プレタンション) 2009 AOCアルザス  
品種 ゲヴュルツトラミネール50%、オーセロワ25%、シルヴァネール25%、

エギスハイム村にある標高210m、南~東向きの0,15haの区画。

「エコセール」に2006年に認定されたビオロジック栽培。夫婦が力を合わせて馬で耕す。
(*全てのワインに共通)

泥灰土に石灰と砂岩の砂利が混ざる土壌。樹齢:約35年。手摘み、収量:50hl/ha

ステンレスタンクを使い、カーヴの自然な温度で約3ヶ月かけて、天然酵母による発酵。ステンレスタンクで8カ月の熟成が終わるまではSO2を使わず、補糖や酵素を用いた人為的な介入をしない。ビン詰め時にSO2を少量添加。(*赤以外は、ほぼ同じ醸造工程を辿る)

コメント
数か所の区画のブドウを元にして、フルーティーで気軽に飲めるワインを作る、というのが目的。ワイン名は、そのままずばり「気取らずに」という意味。

Hausherr_a0157027_23554985.jpg

Cuvée Aussitot Bue(キュヴェ・オーシト・ビュ) 2009 AOCアルザス  
品種 オーセロワ38%、シルヴァネール38%、ピノ・グリ24%  

エギスハイム村にある、標高200m、東向きでほんの僅かに東に傾斜した区画0.54ha。
砂岩がくだけた土壌が主体。樹齢:約20年。手摘み、収量:47hl/ha

コメント
2009年が初ヴィンテージ。「テロワール」や「品種らしさ」というややこしいことを抜きに、香りが豊かで味わいがあって、気軽に飲めるワインを作りたかった。新鮮な果実やフローラルな香りがあり、酸味のバランスが優れている。ジューシーで口当たりが心地良く飲みやすい。
ワイン名は3つの品種のはじめの文字を組み合わせた。Au(オーセロワ)、Sy(シルヴァネール)、To(トケイ・ピノ・グリ)。「Bue=飲んでしまった」をつけ、「のどの渇きを潤してくれるなー」、と思っているうちに飲み干してしまったという意味を含ませた。2009年のブドウの熟度はとても良く、みずみずしい酸があり、同時にフルーツの香りが豊か。

Hausherr_a0157027_2357759.jpg

Sui Generis (スイ・ジェネリ) 2007 AOCアルザス  
品種 ゲヴュルツトラミネール100%

エギスハイム村にある標高220m、南東向きの0,41haの区画。
泥灰土と石灰が混ざる土壌。樹齢:約25年。手摘み、収穫率:40hl/ha

コメント
ゲヴュルツトラミネール1種類で辛口に仕上がったキュヴェ。2005年に同様のワインを作った折、柑橘類を思わせるキリッとした酸味と複雑な風味がとてもよかった。しかしAOCワインとしての規格から外れることが明確なため、VDTにした。きれいに熟したブドウが放つ、溢れるような果実味とVDTとはいえ、その育ちの良さと優れたバランスが素晴らしい。
ワイン名は、「アルザスのゲヴュルツトラミネール」として、「規定されたカテゴリーに収まらない」という意味。(*Sui Generis は、ラテン語で 独特の、ユニークな という意。)

Hausherr_a0157027_1122346.jpg

Lieu-dit Altengarten (リューディ・アルテンガルテン) 2009 AOCアルザス  
品種リースリング65%、ゲヴュルツトラミネール35%

エギスハイム村にある「アルテンガルテン」はGC「アイヒベルク」のすぐ下に位置する。標高220m、南東向きに傾斜した0.48haの区画。泥灰土と石灰が混ざる土壌。樹齢:約30年。手摘み、収量:49hl/ha

コメント
2009年が初ヴィンテージ。風味がしっかりとあり、バランスが良く、品質が高いワインを目指した。香りに広がりがあって豊か、しっかりとした酸があるが、口当たりがとても良い。「アルテンガルテン」の名前は、「古い庭」「標高の高い場所」という意味を持つ。

Hausherr_a0157027_1151370.jpg

Lieu-dit Sunngass (リューディ・スンガス) 2009 AOCアルザス  
品種リースリング70%、ピノ・グリ30%

エギスハイム村にある「スンガス」。標高250m、北西向きに傾斜した1.09haの区画。
泥灰土と砂岩が混ざる土壌。樹齢:約35年。手摘み、収穫率:41hl/ha

コメント
コンセプトはアルテンガルテンと同じ。スンガスの2つの区画に育つブドウ2品種を混ぜて作った。夏の間、日差しが強く暑かったため、ぶどうの熟度が非常に高い。「スンガス」の名前は、「南側にある小路」という意味。

Hausherr_a0157027_1153318.jpg

Cuvée La Colline Céleste (キュヴェ・ラ・コリーヌ・セレスト) 2009 AOCアルザス  
品種ゲヴュルツトラミネール74%、ピノ・グリ15%、リースリング11%

エギスハイム村にあるGC「アイヒベルク」。標高280m、南~南東向きに傾斜した0.96haの区画。泥灰土と石灰が混ざる土壌。樹齢:約40年。手摘み、収量:27hl/ha

コメント
コンセプトはアルテンガルテンと同じ。GCアイヒベルクに育つ3品種を混ぜたためグランクリュを名乗れない。十分な熟度があり、同時にミネラル感と酸味がしっかりとしている。ワイン名は、祖父セレストがこのGCの区画を拡大してくれたことへの敬意と、「アイヒベルク」の由来が「コリーヌ・ド・シェーヌ=コナラの木の丘」から来ていことから名付けた。

Hausherr_a0157027_2359198.jpg

Lieu-dit Fronenberg (リューディ・フローネンべルク) 2008 AOCアルザス  
品種ピノ・ノワール100%

エルリシュハイム村のフローネンべルクにある標高240m、南東向きの0,31Haの区画。
泥灰土と石灰が混ざる土壌。樹齢:約10年。手摘み、収穫率:20hl/ha

除梗を100%して、ステンレスタンクを使い、カーヴの自然な温度で約1ヶ月かけて、天然酵母による発酵。ステンレスタンクで10カ月の熟成が終わるまではSO2を使わず、補糖や酵素をしない。熟成中に一度だけバトナージュを行う。ビン詰め時にSO2を少量添加。清澄やろ過を一切しない。

コメント
蔵を創立した2000年にピノ・ノワールを植樹する機会に恵まれた。2008年はやや過熟気味に熟したにもかかわらず、フレッシュな活き活きした酸味が存在する。ノンフィルターのため濁っているがじわじわと広がる味わいがとても豊か。
区画名は、「丸く張り出した丘」という意味で、その名の通り丘は広くゆったりと丸みを帯びている。
Hausherr_a0157027_1155519.jpg

Hubert et Heidi
ユベール と エイディ
Hausherr_a0157027_1195675.jpg

かわいいラベルは、縁の下の力持ち 娘たちの作品!



Hausherr_a0157027_1295581.jpg

スキッピー かわいすぎる!!
by w-inc | 2011-05-04 23:10 | Vin
<< いつもの Sylvain Martinez >>