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Domaine Grosbois

Domaine Grosbois
ドメーヌ・グロボア

●産地:ロワール地方、シノン地区 
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「世界を旅して、シノンの良さを知る」
「日照の良さと徹底した低収量」
「樹を見て聞き、手で触れてブドウと話す」

●蔵元 
ロワール地方において、ソミュールと並ぶ赤ワインの主要産地として有名なシノンで、1820年から家族代々ブドウ栽培を営むグロボア家。創立者のルネ・グロボアから7代目になるニコラが、2005年から当主となっています。
ドメーヌは、ロワール河の支流、ヴィエンヌ川沿いに位置するシノンから約10km川上のプレソワール村にあります。所有する9haのブドウ畑は、川から上部の森へと連なる南向きの斜面にあり、とても優れた日照条件と水はけの良さが特徴です。
蔵は15世紀に建てられた要塞の建物を改装して住居兼醸造所としています。フランス革命後に行われた耕地分割や整理統合の影響を受けなかったため、ブドウ畑はひとかたまりのまま蔵に隣接しています。
ブドウ栽培農家として長い歴史を持つ家に育ったニコラは、家業を継ぐことは当然のことと思いながらも、大学卒業後すぐに実家に戻るには漠然とした抵抗感がありました。それは、「シノンのワイン」というものを明確に捉えきれずにいたからです。
それが理由となってニコラの世界ワイン行脚が始まりました。

1999年、まずは南仏のミネルヴォアにある30haのブドウ畑を持つドメーヌで、高貴なシラー、難しいムールヴェドル、そしてグルナシュ、樹齢の古いカリニャンなど南仏の品種を体験しました。
「世界のワインを知りたい。」南仏で2年働いたニコラは世界に羽ばたきます。
チリのマイポヴァレーを皮切りに、オレゴンの2つのワイナリーで働いた時、最新技術によるテスト結果をワイン造りの現場にフィードバックする体制と、オープンなアングロサクソン人の姿勢に多くのことを学びました。(もしシノンに帰らなければ、オレゴンに住もうと思ったくらい強く惹かれた場所だそうです)

オーストラリアのハンターヴァレーで、凝縮感がありアルコールが高く、インパクトの強いワインに触れて、世界のワインの多様性という観念を理解できました。それぞれのワインは、ブドウが育った土地と人柄に似るんだ、ということがはっきり分かったのです。
最後の海外研修となったニュージーランドでは、ハンターヴァレーとは逆に、冷涼な天候の元で育つピノ・ノワールによるワイン造りを通して、気候風土を活かしたワインを造れば良いのだと気づきました。同時に、自分の家族はなんて素晴らしいブドウ畑を守ってきたのかを自覚したのです。
ニコラは、2005年の春、ニュージーランドでの仕込みを終えて家族が待つ故郷に戻りました。

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●栽培・醸造
表土の下は「テュフォー」または「ミラルジュ」と呼ばれる石灰質の岩盤がソミュールから続いており、その上を粘土質や珪質土壌の層が覆っています。その深さは丘の上部で30cm、下部で1.5mほどです。
9haのブドウ畑は13に区切られていますが、昔の人は区画を分ける際に、傾き加減などとともに、地質によってブドウの生育が異なるため、作業内容と効率を考慮して分けたことがうかがわれます。

グロボアで育てるブドウは全てカベルネ・フランです。
蔵に戻ってニコラが初めに取り掛かったことは、収量の低減です。味がのったブドウを育てられるよ35hl/haを目標として、全区画を徹底して冬の剪定と果実の間引きをしました。翌年は、樹齢や地質が違えば当然樹勢も違うため、前年の結果を参考に樹の状態を見ながらブドウの量を調整し始めました。

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「樹を見て聞き、手でブドウと話す」
ブドウ畑に出ると、樹一本一本の樹勢を見てまわり、生育状況を徐々に把握できるようになりましたブドウは健康か、それともいつもと違って調子が悪いのか。それに応じて仕事内容が変わります。7月に行う間引きも、樹勢や枝振りを判断してブドウがきちんと熟してくれるように考えながら行います。(平均25~30%のブドウを切り落とす)
「手で話す」という意味は、手作業で樹の面倒をみるということです。2007年から除草剤や防虫剤といった合成化学物質による農薬をやめました。ブドウ自体が生育のバランスを取ることができれば、樹は健康に育ってくれ、ひ弱でなくなる。地中の成分をしっかりと吸い上げて優れたブドウが成熟するのです。

2008年は、両親の支持と仲間のヴィニュロングループの協力によって、手摘み収穫をすることができました。結果は目覚しい品質アップとなり、以後全てのキュヴェを手で収穫しています。その上、ブドウの温度が上がらないように、収穫は午前中の早い時間だけに限定しています(12~14℃)。 
2009年の良好な結果をもとにして、より良いブドウ作りを目指して「ビオディナミ農業」を考えています。現在ビオロジックの認定団体「エコセール」に申請中です。

Vins
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〇Cuisine de ma mere(キュイジーヌ・ド・マ・メール) 2010 AOCシノン  
品種カベルネ・フラン100% 
 
土壌・栽培
クラヴァン・レ・コトー村の平地部分にある2.0haの畑。樹齢:12年。
他のキュヴェより粘土をやや多く含んだ砂が混ざる土壌。
ビオディナミの認証「デメテール」に申請中で、2012年に取得予定。

手摘み収穫してぶどうが潰れないようにプラスティックケースに入れて運搬。
収量:約45hl/ha

醸造・熟成
カベルネの野菜っぽさを出さないように、原料ブドウの50%はすぐに圧搾し、残りは除梗後、セニエ方式にしてマセラシオンを長くしないように注意した。

3日間プレフェルマンタシオン。
天然酵母によるアルコール発酵は15日。
タンクで8ヶ月熟成。

ワインの特徴
若木のブドウを使い、カベルネ特有のベジタルのニュアンスが出ないように、マセラシオンの仕方を工夫した。アルコール度が11.5%と少し低く、フルーティーな味わい。

ワイン名は「母の手料理」という意味で、日常的に飲んでもらえるような身近なワインであってほしい。そして、心のこもった母の手料理と一緒に楽しんでほしい、という気持ちが込められている。


〇Gabare (ギャバール)2009 AOC シノン  
カベルネ・フラン 100%  

土壌・栽培
砂が混ざる粘土質土壌。4.5haの畑は斜面の中腹にあり、素晴らしい日照量を得られる。
樹齢:平均40年。手摘み収穫してぶどうが潰れないようにプラスティックケースに入れて運搬。収量:約40hl/ha

醸造・熟成
除梗を100%してセメント槽に投入。2、3日間12~14℃にてプレフェルマンタシオン。天然酵母によるアルコール発酵とマセラシオンを含めて15日。2日に1回のピジャージュは、とても優しく細心の注意をはらって行う。その感覚を例えるなら「手の平でマッサージ」するかのよう。タンクで12ヶ月熟成。
SO2は発酵中には使用せず、翌年の6月以降、熟成庫の気温が10℃を超える時期が来ると少量添加する。ビン詰め時は分析結果によって加える場合もある。

ワインの特徴
カベルネ・フランの青っぽさがワインに移らないように、完熟したブドウを収穫することを特に注意する。また100%除梗し、丁寧なピジャージュをするのもカベルネのネガティヴなニュアンスを避けるため。

ギャバールは、生産量全体の50%を占める主力ワイン。
キュヴェ名は、「貨物運送船」。昔、ワインを運搬するのは、河川を行きかう貨物運送船だった。現在あるワイン産業の発展は、貨物船の労働者のお陰だからと、感謝の気持ちをこめて名付けた。

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〇Clos du Noyer (クロ・デュ・ノワイエ) 2009 AOC シノン  
カベルネ・フラン100%  

土壌・栽培
砂が混ざる粘土質土壌。「ギャバール」の区画より表土が浅い。斜面の高い部分に位置する1.2haの畑は、南向きで最高の日照量を得られる。
樹齢:25~60年。手摘み収穫してぶどうが潰れないようにプラスティックケースに入れて運搬。収量:約30hl/ha

醸造・熟成
除梗を100%してセメント槽に投入。3日間プレフェルマンタシオン。天然酵母によるアルコール発酵とマセラシオンを含めて15日。ピジャージュは「ギャバール」同様、細心の注意をはらって実施。タンクで12ヶ月熟成。SO2の仕様は「ギャバール」と同じ。

ワインの特徴
「Noyer」とはクルミの木。ブドウ畑のそばにそびえるクルミの木が区画名になった。秋のブドウ収穫の後にクルミも採れる。石灰質の岩盤「テュフォー」によるミネラル分がワインに表れていて、背骨のように筋が通って、味わいにまとまりが出る。きめの細かいタンニンがとても心地よく、深く繊細な余韻を持ったワイン。


〇Vieilles Vignes(ヴィエイユ・ヴィーニュ) 2009 AOCシノン  
品種カベルネ・フラン100%  

土壌・栽培
砂が混ざる粘土質土壌。「クロ・デュ・ノワイエ」同様に表土が浅い。
樹齢90年を越える0.6haの区画。
斜面の高い部分に位置し、南向きで最高の日照量を得られる。

手摘み収穫してぶどうが潰れないようにプラスティックケースに入れて運搬。
収量:約30hl/ha

醸造・熟成
ブドウを100%除梗して、ベルトコンベアーの選果台を使い粒選りの選別をする。
セメント槽に投入し、2、3日間プレフェルマンタシオン。
天然酵母によるアルコール発酵とマセラシオンを含めて13日。
「クロ・デュ・ノワイエ」より少しマセラシオンを控える。ピジャージュは細心の注意をはらって行う。
果実の風味を残すためタンクで12ヶ月熟成。

SO2は発酵中には使用せず、翌年の6月以降、熟成庫の気温が10℃を超える時期が来ると少量添加する。ビン詰め時は分析結果によって必要なら加える場合もある。

ワインの特徴
ビン詰め後、若いうちはしっかりとした骨格が優位だが、少し熟成すると、横幅があって奥深い味わいに変わっていく。2009年はブドウが完熟したため、溢れるような赤い果実の風味があり、素晴らしくリッチな味わい。 ポテンシャルがとても高く、熟成が楽しみ。


パリのショップ&レストランでの取り扱い:
•トリアノン・パラス
•ホテル・マンダリン *1
•トロワグロ(ブティック)
•プティ・リッシュ *2
•カーヴ・パンテオン
•クデュボン *3
•ル・ガルド・ローブ
•クリュ・エ・デクヴェルト ほか合計50店

*1:2011年6月オープン予定。ギャバールとクロ・デュ・ノワイエを取扱い。
*2:オペラ界隈で130年の歴史をもつ風格あるクラシックレストラン。
*3:老舗ビストロ「シェ・ラミュロー」のオーナーが経営。

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by w-inc | 2011-05-22 13:46 | Vin

Les Compères 相棒という名のワイン

Philippe Bouvret & Jean-François Ganevat
フィリップ・ブーヴレ  & ジャン=フランソワ・ガヌヴァ

Les Compères 2005 (レ・コンペール) AOCコート・デュ・ジュラ(白)    
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品種シャルドネ100%


アルボアから南西約30kmの「ロタリエ」村近くにある1haの区画。
樹齢:約25年。手摘み収穫、収量:35hl/ha。

醸造・熟成
ブルゴーニュの木樽(228L)の古樽(7~10年)でアルコール発酵。天然酵母による自然な発酵。発酵と熟成をあわせて18ヶ月、細かな澱と一緒にした「シュールリー」の状態で複雑さを引き出しながら熟成。期間中、一度澱引きを行った。
熟成が終わると軽いフィルターをかけてビン詰め。SO2は圧搾後の果汁への添加と、ビン詰め時に少量使用。

コメント
Poligny(ポリニ)にある、コンテチーズで有名なチーズ屋&ワインショップのオーナー フィリップ・ブーヴレ氏がコート・ド・ジュラ最良の造り手の一人と呼び声の高い ジャン・フランソワ・ガヌヴァに醸造を依頼して仕上げたコラボレーション・ワイン。二人共同で作ったことにちなんで「Les Compères=相棒」と名付けた。

優れた品質だった2005年のブドウを厳選して醸造。2005年以降、納得のいくブドウが得られないため、その後のヴィンテージは生産されていない。造り手は、「ネゴスワインのため、栽培やぶどうの出所、醸造方法はあまり触れたくない」と言っておりますが、ワインは文句なしの出来栄えです。今回は、造り手の蔵元で熟成されたワインのオファーがあり、在庫を全部いただきました。

非常に暑かった2005年ですが、フレッシュさがきれいに残っており、この産地らしいミネラル感が豊かな風味と溶けあって、今まさに飲み頃。安定感もあり、数日かけてby the glassでも良さそうです。コンテチーズにも合いそうですね。貴重な飲み頃のジュラ・ワインはいかがですか~?
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by w-inc | 2011-05-10 11:38 | Vin

Cyril Zangs

Cidre 2 Table
Cyril Zangs
8 rue de la gare
14100 Glos

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Caen(カーン)の東 約40km、カルヴァドス県 Lisieux(リジュー)に程近い村に本拠地を持つ Cyril Zangs(シリル・ザンク)。シードルのスペシャリストです。

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THE FRUIT (果実)
The Essentiel Raw Material (必要不可欠な原材料)
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シリル・ザンクの果樹園では、甘味・苦甘味・苦味・ほんのりとした酸味やすっぱさ・・・、それぞれ固有の風味を持った15種ものリンゴが育てられています。樹齢15~60年のリンゴの樹になった果実は、10月初旬~12月中旬ころ、ちょうど熟したときに収穫されます。地面にはカンバスシートが敷かれ、果実を痛めないように、そして清潔さを保って収穫します。リンゴは、品種ごとに分けられ、最大25kgまで入る網の袋に入れて蔵に運ばれます。蔵では、約6週間ほど、さらに熟す期間が設けられます。その後、味わいのベスト・バランスを生み出すように果実を分け、次の工程=リンゴをすりつぶす工程に移ります。


THE JUICE (果汁)
The Magic of the Fermentation Process(醸造工程の神秘)
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グラインダーでリンゴを細かい粉末状にした後、木製プレスで圧搾します。得られる琥珀色のリンゴ果汁は、密度1057~1065。それからステンレススチールタンク内で天然酵母によって発酵が始まります。数回の澱引きを行い、5,6ヶ月経った後、シードルは、フィルターなし・最大でも20mg/lのSO2量でビン詰めされます。そして発泡性が出てくるまで2,3ヶ月水平に寝かせて保管されます。


THE BOTTLE (ボトルの最終作業)
The Pleasure of Opening a Bottle (抜栓する楽しみ)
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その後、ボトルは、ピュピートルで数週間ルミアージュ(瓶を少しずつ回して、繊細な風味や泡を整えつつ、澱をビンの口元に集める作業)を経て、デゴルジュマン(抜栓し澱を飛ばす作業)に移ります。
デゴルジュマンで減った分は、同じときにデゴルジュされた同一のシードルが加えられます。その他の添加物は全く用いません。
そしてシードルのボトルは、再び王冠でフタをされ、洗浄・ラベル貼りを経て完成品となります。あとは適温(少しだけ冷やし目)で、食中酒またはアペリティフとして、このヴィンテージのシードルを開けるだけです! Santé!!

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ラインナップ
Cidre 2009 Brut

Cidre 2009 XS  [写真左]
(Extra-Dry, サンスフル)
甘味を感じさせない辛口の仕上げ。少し温度を上げて食中酒としてどうぞ。和の食卓でもいけますよ。

Cidre 2009 This Side® Up [写真右]
シードル ディス・サイダー・アップ
シリルが特に大事にしている単一区画のリンゴで仕込んだシードル。極少量生産。

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おまけ
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by w-inc | 2011-05-05 12:58 | Vin

いつもの

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春が来たなあと油断しているうちに、「いつもの」告知をするのを忘れてました...

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乙なワイン、入荷してます!!
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・・・資料間に合ってなくてすみません!
それから、売り切れてたらゴメンナサイ!
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Cheers!!
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by w-inc | 2011-05-05 10:19 | W

Hausherr

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Hubert et Heidi HAUSHERR
ユベール・エ・エイディ・オシェール
産地:アルザス地方 エギスハイム

「もうひとつの個性」
「リューディ(区画)ごとのワイン」
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●蔵元 
コルマールの近くの村、エギスハイムで何代にも渡り家族経営されてきたドメーヌ。現当主ユベール・オシェールの祖祖父の代は、ブドウを栽培し、ワイン造りも行っていました。そして当時の多くの農家と同様に、穀物作りや家畜を育てる複合農業を営んでいました。農場を引き継いだ祖父セレストは、第二次世界大戦の後、ワイン販売が困難になったためワイン造りをあきらめ、栽培したブドウを協同組合に出荷するようになりました。

父、ベルナールの代に蔵は大きくなり、1984年にユベールが、その2年後には弟が父を手伝うようになりました。協同組合での経営は順調でしたが、ユベールは、丹念に育てたブドウがその良さを表現することなくワインになってしまうことに欲求不満を感じだしました。「何か違う」 「自分が育てたブドウでワインをつくってみたい」 この願望がいよいよ強くなって、1999年に自然派ワインの蔵元から専門知識を教わり、自分たちが思い描くワイン造りを確信しました。

そして2000年に、ついに妻のエイディと組合を離れて自社で醸造からビン詰めまですることを決断したのです。しかしユベールの弟は協同組合に残ることを選んだため、この蔵は2つに分割されました。

ユベール夫妻は4haの畑を引き継ぎましたが、農機具が全くなくなってしまいました。二人はこのハンデを契機にして、テロワールを尊重したブドウ栽培をするために化学物質を一切使わない農業を選択し、手作業によるブドウ栽培を始めました。それは祖父の時代には当たり前の農業でしたが、近代化された現代では“奇妙な”方法だと思われています。

「生きた土作り」をするには、馬で耕す方が良いと思い、請負業者に頼んでいましたが、定期的な耕作ができない不便さがありました。そこで土を固めないようにと小型の耕運機を購入して4年ほど過ぎたころ、やっと一頭の馬(スキッピー)を入手することができました。それ以来、自分たちで馬と一緒に耕作しています。

2000年に実家のすぐ隣にある建物を購入して、ワイン醸造所と熟成庫として手を加え、初ヴィンテージを仕込みました。テクニックとしての「醸造技術」は複雑で不自然ということで、昔ながらのワイン造りを目指しました。ブドウを手摘みして、ゆっくりと圧搾した後、天然酵母による発酵に移ります。その後は細かな澱と一緒に、ワイン自体のリズムを尊重した熟成を行うというものです。

しかしワインを造っても誰が買ってくれるのか?顧客を全く持っていない状況で、ワイナリーを興すことはとてつもなく大きな不安がありました。それを乗り越えられたのは、いくつか理由があります。

〇祖父セレストのカーヴに入る機会があったこと。使われなくなった圧搾機や発酵槽などを目の前にして感動。
〇ワインを試飲して、それができた背景を思いめぐらせることに強い興味があったこと。
〇一番大きな理由は、父や弟と共に「いつか自分たちのワインを造りたい」と話していたこと。結局この夢は違う形で実現することに。
〇そしてエイディが収穫のアルバイトに来て出会ったこと。彼女は蔵に残って結婚し、2年後に協同組合から独立しました。

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●栽培・醸造
 完成したワインの品質は、原料となるブドウの品質が大きく影響します。優れたワインを造るには品質の高いぶどうを得ることができるか?酸味と糖分、タンニン成分がバランスよく成熟するまで待つことができるのか?という点が大事です。
そのためには収穫量をコントロールしなければなりません。アルザス地方では1ha当たり80hlの収量が認められていますが、収量が多いと残念ながら品質は落ちてしまいます。オシェールでは単位面積の収量を30~50hlまで抑えることによって、香味が豊かでエキス分がしっかりとしたブドウが育ちます。

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醸造:
少量のSO2を使う以外は、醸造テクニックを使わない。
19世紀に使われていた手動の垂直型木製圧搾機を修復し、ゆっくりと丁寧な圧搾をして、コロイド状の物質が混ざらない澄んだ果汁を得る。
以前は、品種ごとのワインを造っていましたが、現在は区画ごとに2,3品種を混ぜたワインがほとんどとなっています。

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Vins
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Cuvée Sans Pretention (キュヴェ・サン・プレタンション) 2009 AOCアルザス  
品種 ゲヴュルツトラミネール50%、オーセロワ25%、シルヴァネール25%、

エギスハイム村にある標高210m、南~東向きの0,15haの区画。

「エコセール」に2006年に認定されたビオロジック栽培。夫婦が力を合わせて馬で耕す。
(*全てのワインに共通)

泥灰土に石灰と砂岩の砂利が混ざる土壌。樹齢:約35年。手摘み、収量:50hl/ha

ステンレスタンクを使い、カーヴの自然な温度で約3ヶ月かけて、天然酵母による発酵。ステンレスタンクで8カ月の熟成が終わるまではSO2を使わず、補糖や酵素を用いた人為的な介入をしない。ビン詰め時にSO2を少量添加。(*赤以外は、ほぼ同じ醸造工程を辿る)

コメント
数か所の区画のブドウを元にして、フルーティーで気軽に飲めるワインを作る、というのが目的。ワイン名は、そのままずばり「気取らずに」という意味。

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Cuvée Aussitot Bue(キュヴェ・オーシト・ビュ) 2009 AOCアルザス  
品種 オーセロワ38%、シルヴァネール38%、ピノ・グリ24%  

エギスハイム村にある、標高200m、東向きでほんの僅かに東に傾斜した区画0.54ha。
砂岩がくだけた土壌が主体。樹齢:約20年。手摘み、収量:47hl/ha

コメント
2009年が初ヴィンテージ。「テロワール」や「品種らしさ」というややこしいことを抜きに、香りが豊かで味わいがあって、気軽に飲めるワインを作りたかった。新鮮な果実やフローラルな香りがあり、酸味のバランスが優れている。ジューシーで口当たりが心地良く飲みやすい。
ワイン名は3つの品種のはじめの文字を組み合わせた。Au(オーセロワ)、Sy(シルヴァネール)、To(トケイ・ピノ・グリ)。「Bue=飲んでしまった」をつけ、「のどの渇きを潤してくれるなー」、と思っているうちに飲み干してしまったという意味を含ませた。2009年のブドウの熟度はとても良く、みずみずしい酸があり、同時にフルーツの香りが豊か。

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Sui Generis (スイ・ジェネリ) 2007 AOCアルザス  
品種 ゲヴュルツトラミネール100%

エギスハイム村にある標高220m、南東向きの0,41haの区画。
泥灰土と石灰が混ざる土壌。樹齢:約25年。手摘み、収穫率:40hl/ha

コメント
ゲヴュルツトラミネール1種類で辛口に仕上がったキュヴェ。2005年に同様のワインを作った折、柑橘類を思わせるキリッとした酸味と複雑な風味がとてもよかった。しかしAOCワインとしての規格から外れることが明確なため、VDTにした。きれいに熟したブドウが放つ、溢れるような果実味とVDTとはいえ、その育ちの良さと優れたバランスが素晴らしい。
ワイン名は、「アルザスのゲヴュルツトラミネール」として、「規定されたカテゴリーに収まらない」という意味。(*Sui Generis は、ラテン語で 独特の、ユニークな という意。)

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Lieu-dit Altengarten (リューディ・アルテンガルテン) 2009 AOCアルザス  
品種リースリング65%、ゲヴュルツトラミネール35%

エギスハイム村にある「アルテンガルテン」はGC「アイヒベルク」のすぐ下に位置する。標高220m、南東向きに傾斜した0.48haの区画。泥灰土と石灰が混ざる土壌。樹齢:約30年。手摘み、収量:49hl/ha

コメント
2009年が初ヴィンテージ。風味がしっかりとあり、バランスが良く、品質が高いワインを目指した。香りに広がりがあって豊か、しっかりとした酸があるが、口当たりがとても良い。「アルテンガルテン」の名前は、「古い庭」「標高の高い場所」という意味を持つ。

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Lieu-dit Sunngass (リューディ・スンガス) 2009 AOCアルザス  
品種リースリング70%、ピノ・グリ30%

エギスハイム村にある「スンガス」。標高250m、北西向きに傾斜した1.09haの区画。
泥灰土と砂岩が混ざる土壌。樹齢:約35年。手摘み、収穫率:41hl/ha

コメント
コンセプトはアルテンガルテンと同じ。スンガスの2つの区画に育つブドウ2品種を混ぜて作った。夏の間、日差しが強く暑かったため、ぶどうの熟度が非常に高い。「スンガス」の名前は、「南側にある小路」という意味。

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Cuvée La Colline Céleste (キュヴェ・ラ・コリーヌ・セレスト) 2009 AOCアルザス  
品種ゲヴュルツトラミネール74%、ピノ・グリ15%、リースリング11%

エギスハイム村にあるGC「アイヒベルク」。標高280m、南~南東向きに傾斜した0.96haの区画。泥灰土と石灰が混ざる土壌。樹齢:約40年。手摘み、収量:27hl/ha

コメント
コンセプトはアルテンガルテンと同じ。GCアイヒベルクに育つ3品種を混ぜたためグランクリュを名乗れない。十分な熟度があり、同時にミネラル感と酸味がしっかりとしている。ワイン名は、祖父セレストがこのGCの区画を拡大してくれたことへの敬意と、「アイヒベルク」の由来が「コリーヌ・ド・シェーヌ=コナラの木の丘」から来ていことから名付けた。

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Lieu-dit Fronenberg (リューディ・フローネンべルク) 2008 AOCアルザス  
品種ピノ・ノワール100%

エルリシュハイム村のフローネンべルクにある標高240m、南東向きの0,31Haの区画。
泥灰土と石灰が混ざる土壌。樹齢:約10年。手摘み、収穫率:20hl/ha

除梗を100%して、ステンレスタンクを使い、カーヴの自然な温度で約1ヶ月かけて、天然酵母による発酵。ステンレスタンクで10カ月の熟成が終わるまではSO2を使わず、補糖や酵素をしない。熟成中に一度だけバトナージュを行う。ビン詰め時にSO2を少量添加。清澄やろ過を一切しない。

コメント
蔵を創立した2000年にピノ・ノワールを植樹する機会に恵まれた。2008年はやや過熟気味に熟したにもかかわらず、フレッシュな活き活きした酸味が存在する。ノンフィルターのため濁っているがじわじわと広がる味わいがとても豊か。
区画名は、「丸く張り出した丘」という意味で、その名の通り丘は広くゆったりと丸みを帯びている。
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Hubert et Heidi
ユベール と エイディ
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かわいいラベルは、縁の下の力持ち 娘たちの作品!

おまけ
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by w-inc | 2011-05-04 23:10 | Vin

Sylvain Martinez

Sylvain Martinez
シルヴァン・マルティネズ

産地:ロワール地方、アンジュ地区 

「自然と調和した感覚」
「Vin Artisanal  職人肌の手作りワイン」
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●蔵元 
 ロワール西部の都市、アンジェ市から南東約20kmにある小さな村、シュメリエの新しい蔵。シルヴァン・マルティネズは、体格はそれほど大きくないですが、がっしりと逞しく、黒い無精ひげを顔中に生やした34歳。ワイン造り以外については余りしゃべらず、無口で控えめな人柄です。
 農業を営んでいた祖父の後を追いかけて子供時代をすごしたせいで、小さな頃から自然が大好きだったシルヴァンは、早くから農業を目指しましたが、とりわけ懇親性があって深い文化を持つ「ワイン」に惹かれました。ワイン造りの仕事に就き、大小数ヶ所の蔵元で働いて経験を積んでいきました。
 一つの果物が自然の作用によって味わい豊かな飲み物に変わることが、魔法によってできているようで、とても不思議に感じられ、どんどんその世界に引き込まれていきました。
 そして独立するまでの数年間を、ロワールの自然派の重鎮 マーク・アンジェリ、ルネ・モス、オリヴィエ・クザンらの下で働きました。
 最後に働いたのは、馬で耕作する研修を開くほどの腕前を持つ造り手オリヴィエ・クザン。彼はSO2無添加でワインを作っています。彼と共にビオロジックでブドウを育て、馬を操って土を耕す仕事をしながら、自然環境を重んじる農業と共に、SO2無添加でのワインを造りに感銘を受けて、自身のスタイルにとりいれてゆきました。こうして2007年に独立したのです。

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●栽培・醸造
 ロワールでは、年によっては夏が涼しくなることがあるため、熟してしっかり味がのったブドウを育てるには、何よりも収穫量を抑えなければいけません。そのことを気にして、最初の2年は冬の剪定を短くしすぎてしまい、収量は極僅かの10hl/haになりました。
 果皮をしっかりと厚くし、ブドウが成熟するまで樹に生らせて待てるのは、ブドウの樹齢と地質にもよりますが、彼の畑であれば30hlくらいまでの収量なら大丈夫です。しかし彼は、何より優先するのは「品質」と考えて、20hlを越えないようにしっかりと剪定しています。
 1株に2枝伸びる仕立てにして、各枝に4芽が出るように、非常に短く剪定します。4月に入り、芽吹きして展葉しはじめると、株の芽欠きや、余分な細枝を一つ残さず取り除きます。
 土を耕すのは、2頭の馬。土を固めないから通気性が保てて、小動物が育ちやすく、生きた土作りに良い影響が出るとのこと。トラクターより仕事のスピードは遅く効率が悪くても構いません。逆にブドウの樹を1本ずつきちんと見ることができるため、木の生育具合が良く分かるのだそうです。そして馬が疲れたら休憩する。馬をいたわる気持ちは、自然を一番に考えて農業をする意識を持たせてくれます。

「馬で耕していると自分が自然に調和したような感覚になります。」と、シルヴァンは語っています。

 とても生産量が少ない蔵ですが、自分にできることを最大限して、美味しいワインを造りたい。飲んで喜んでくれる人が一人でも多くいてくれれば嬉しい、という思いが伝わってきます。

2haのブドウ畑は、1992年からビオロジック農業の認定「カリテフランス」を取得した区画。
80%がシュナン・ブランで、20%がグロロー・ノワールです。
収穫は手摘みで、ブドウがつぶれないように小さなプラスティックケースに入れて運びます。

醸造について:
圧搾機は木製垂直式(手動タイプ)
白ワインは絞った果汁をタンクでデブルバージュ(清澄)した後、古樽に移して天然酵母による発酵。こうすると樽ごとの発酵の遅れが出にくくなります。冬、低温になるとアルコール発酵は中断しますが、清澄度が増します。春になり気温が上がると、発酵が再開します。そうして発酵が終わって、ワインは熟成しながら、もう一度次の冬を越える間に、ワイン中の余分な成分が澱となって自然沈殿します。時間がかかっても、ワイン自体のリズムを尊重してワイン造りをすると、人為的な清澄やろ過をしなくても済みます。

赤ワインは、房ごとタンクに入れて、発酵・マセラシオンさせます。その期間はブドウの成熟具合によって違いますが、およそ15日です。その後、古樽に入れて熟成に移ります。

白・赤ワインとも全ての段階において、木樽の内部を燻蒸する以外、SO2を一切使わずにビン詰めします。当然、「ブドウ以外の物質」を全く添加しないワイン造りをしています。

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◎Gazouillis ガズゥイ (2010) ヴァン・ド・フランス  
品種 シュナン・ブラン
土壌 コトー・デュ・レイヨン地区にある畑で、樹齢は7年と20年。粘土質に砂利が混ざる土壌。

収量:20hl/ha

醸造・熟成
木製の垂直式圧搾機から得られる果汁は、濁りが少ない上、手作業で圧力を控えるため、一層きれいになる。古い木樽にて9ヶ月かけて発酵と熟成をさせた後、ガスを残すようにゆっくりとビン詰めして、若干発泡性を残しました。熟成中は、細かな澱と一緒の「シュール・リー」状態にして複雑味を引きだす。SO2は一切無し。清澄・ろ過をせずにビン詰め。

コメント
「Gazouillis」とは「(幼児の)片言、さえずり」という意味を持つ。生まれたてのワインが、話し始めた、成長した嬉しさが込められている。
2010年の特徴:フルーティーかつフレッシュ。新鮮な果実味が2009年との大きな違い。ノンフィルターのため若干白濁している。

◎Goutte d’O グット・ドー (2008) ヴァン・ド・フランス  
品種 シュナン・ブラン
土壌 コトー・デュ・レイヨン地区にある畑。樹齢は7年と20年。粘土質に砂利が混ざる土壌。

収穫率:10hl/ha

醸造・熟成
木製の垂直式圧搾機から得られる果汁は、濁りが少ない上、手作業で圧力を控えるため、一層きれいになる。古い木樽にて18ヶ月かけて発酵と熟成をさせた。熟成中は、細かな澱と一緒の「シュール・リー」状態にして複雑味を引きだす。SO2は一切無し。清澄・ろ過をせずにビン詰め。

コメント
ワイン名は、黄金色に美しく輝くさまと、生産量がとても少なく宝石のように大事にしたいと言う思いをこめて。濃厚な果実味があり、力強く、そしてミネラル感がしっかりある。


◎Goutte d’O グット・ドー (2009) ヴァン・ド・フランス  
冬の剪定を2008年よりやや長めにした。品質を第一番に追求するが、収量を下げても品質が無制限に向上するわけではないので、バランスを考えている。収量:25hl/ha

醸造・熟成
古い木樽に入れてから、発酵が2ヶ月ととても長くかかった。寒さが厳しくなった12月に澱引きし、再度木樽に移し替えたことで、荒い澱を除去することができた。その後、熟成が終わるまで樽でゆっくりと熟成。発酵と熟成をあわせて18ヶ月。

2009年の特徴:
乾燥した8月だったが、9月上旬に雨が降り、ブドウの房が育ち最良の状態で成熟した。収穫は晴天の下、健全なブドウを摘み終えた。2008年は収穫時に濃い黄金色になり、干しブドウ状態の粒が混ざる過熟ぎみの成熟だったが、2009年は少し貴腐果が混ざる程度で、全体的に房に張りがあった。きれいな黄金色をしており、シュナン特有のしっかりとした酸味も残った。品質と生産量共に申し分のない素晴らしい年になった。


◎Corbeau コルボー (2009) ヴァン・ド・フランス  
品種 グロロー・ノワール  
土壌 コトー・デュ・レイヨン地区の畑。樹齢は30年と80年。石灰質土壌。

収穫率:20hl/ha

醸造・熟成
房ごと「セミ・マセラシオン・カルボニック」の手法で醸造し、フルーティーな果実の香りを表現。古い木樽にて約1年間、澱引きをせず静かに熟成。SO2は一切無し。清澄・ろ過をせずにビン詰め。

コメント
「Corbeau」とはカラスという意味。果皮の色がカラスのように黒いため、地元ではグロローを俗名でこう呼ぶ。逆にカラスのことを「Grolle(グロール)」と呼んでいる。
グロローのほうがカベルネより色が少し薄いのに、カラスと呼ばれるようになったのは、グロローのほうがこの地域に前からあった品種で馴染みが深いからでしょう。


◎Corbeau コルボー (2010) ヴァン・ド・フランス
2010年はグロローが成熟するのに十分な日差しがあり、生産量も安定していた。アルコール発酵がとてもスムーズだったため、発酵中の作業は2009年より短い15日だった。熟成も順調に進んで、翌年の春にビン詰め。よく熟した赤い果実のアロマがあって、細かなタンニンを果実味が包むようなまろやかな味わいが長く続く。

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by w-inc | 2011-05-03 17:47 | Vin